はじめましてADUSTAのルアーデザイナー中西です。
このブログではフォースミックスの開発ストーリーやコンセプト・チューニングなど、今まであまり明かしていない部分をお伝えできればと思います。
エピソード1となる今回はフォースミックスの開発ストーリー、どうやってフォースミックスが生まれたのかをご説明させていただければと思っています。
●食わせとアピールを併せ持ったビッグベイト
僕が通っているホームレイクは関西圏でも名の通ったリザーバーです。夏季には減水し本流の大きなバックウォーターが形成され多くのビッグバスが溜まり最大で60も出ている屈指の湖。その他僕が足を運ぶ湖では池原・七色、マザーレイク琵琶湖でも流入河川周りでの釣行回数は多く、流れがありアピールを必要とするシュチュエーションが多いオカッパリメインの釣行スタイルになっています。
フォースミックスの開発はそんな、水面がざわついた環境でも存在感を失わずアピールでき、かつ、口を使わしやすいナチュラルさとボリューム感を併せ持ったルアーを作りたいという思いが出発点でした。
●最初期はリップ付きビッグベイトだった。
フォースミックスは初期、リップ付きの細身のビックベイトとして開発を開始しました。細身でMH・Hクラスのロッドでも投げやすく、流心でもアピール力を失わない。そんな扱いやすいビッグベイトを目指いしていましたが、いざ現場で使用するといまいちアピール力に欠ける。そんな感覚から様々なリグ・アクションを試す日々が続いていました。
●ふとしたきっかけでウイングを装着
アピール力を求め、一時はディープレンジモデルにまで手を出していた時期もありましたが、迷ったときは最初に立ち返るの如く、実際に使用するシチュエーションから再度要素を洗い出していきました。
①バックウォーターが活きる時期→初夏~秋
②バックウォーターのレンジ→トップ~ミッドレンジ
ポイントの根本に立ち返ってみるとレンジはサーフェイスに絞っていった方が良いという思いに至りました。そこに自分の中でもリザーバーで実績が高く、アピール度もコントロールできる羽もののアイデアがシンクロし、現在のフォースミックスの原型が出来上がったのです。
初期モデルはハンドメイドで硬質発泡ウレタンの3連ジョイントとして製作していました。羽でのアピール力はあるのですが、ボディのアクション自体は非常にナチュラルで、濁りや水面が荒れた状況では、いまいちアピール力が足りないイメージが強かったため、羽のアクションをダイレクトに伝えられるように2連ジョイントへ変更。幅の広い攪拌効果を得られるようにチューニングしていきました。
●初期モデルは流れのあるバックウォーターでの使用を想定
現在の形にまで成り立ってきたフォースミックスですが、今まで書いた通り初期コンセプトは流れのあるポイントでノーマルリトリーブで岸際の岩場周りや流心・反転流回りなどを巻き続けることを念頭に置いていたので、デッドスローからの立ち上がりはそこまで意識していない設定となっていました。止水域で強い、デッドスローでの水面波紋アクションに関してはザックロールYAJIROBEEがボディ形状・ウエイト設定面で考えても向いており、フォースミックスとの使い分けという意味でも別物として捉え、より流れのある場所での使用に絞って開発を進めていました。
●テスターからのアドバイス、止水域でも使いやすいように。
そんな中、テストモデルをテスターやモニターに使用してもらって意見を集めていくと、現状の設定があまりにも特定の状況に特化しすぎており、止水域でも使用しやすい汎用性を持たせる必要があることに気づかされました。
野池やリザーバー中流域などでもストレスなく使用できるようにアクションの立ち上がりの良さに磨きをかける方向でウイングの調整を開始。数十種のテストモデルを製作したのちベストな曲げ角度セッティングへたどり着き、現在のフォースミックスのウイングが誕生しました。
●濁りの入ったリザーバーのバックウォーター近辺でしっかりアピール。
ウイングの設定も完了し、今まで以上にデッドスローからの立ち上がりが好調になったフォースミックスは複数のテスター、モニターからの好釣が報告されるようになりました。シルエットの大きさ、大型アルミ製ウイングが発生する甘いノイジーサウンド、ソフトテールのナチュラルな波動がシンクロし当初のコンセプトに呼応するように濁りの入ったバックウォーター付近での釣果はもちろん、止水域である野池・リザーバー・水路など日本のオカッパリでメインとなるフィールドから続々と好釣の報告をいただくようになりました。
次回はそんなフォースミックスのバランスセッティングを構成している各パーツのコンセプトと、ちょっとしたチューニング方法についてご紹介させていただければと考えています。
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